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どうか思い出さないで You



トリコ夢小説企画様参加小説

名前変換なし
過去捏造











 あれは、そう


まだ私が自分のことを「僕」と呼んでいたっけ。

この体もまだ小さく。そう、あの細胞という名の兵器を受けるには実際まだ私は幼すぎた。
























「どうしたの、ねぇ。何があったの!」


「なんでもない。」






君に話しても何かが変わるわけじゃないんだから、放っておいて。



のどの奥でそう呟いた。

それでも彼女には十分に届いていたらしく、その言葉が、その黒い瞳を潤ませるのにそんなに時間はかからなかった。



 だけれど、もう叶わない。



彼女との時間は後もう少し経てば幕を閉じる。お終いだ。



もう再び、彼女とこのような関係で出会うことは二度と叶わないだろう。

解りきったことだった。














白い髪、白い肌、白い服そして眼までもがもはや白に侵された。



これがなんの保証もなく、命を懸けて体内に直接注入されたグルメ細胞のせいであることなんて、僕のようなバカでもすぐに理解できる。



 どうやら、こんな奇妙な外見にされてしまった瞬間から、己の宿命すら定められてしまったらしい。

行くべき場所も、何もかもがたったひとつの行為によって狂わされた。










「ユー・・・」






刹那、あいつが何のためらいもなく僕の手に触れてきた。


今までとは全く正反対の色に浸食された僕の体に、










「ねぇ、ユー」


「・・・」


「どこに行くの、」







縋り付くように、彼女は僕の首に腕を絡ませる。


今まで、夢にまで見る程欲していた温もりは確かに彼女のものであり、僕の唯一の願望、









「ごめ、ん」


「・・・ユ、」


「もう、君には会えない」


「・・・え?」


「さようなら、」











 僕のいるべき場所は君の側じゃない。


だから君も僕の側にいてはいけないんだよ、







そんな言葉とともに振り上げた石は、僕の意志とともに彼女の脳天に降り注いだ、





この石が奪うのは、なんだろう。








(ぼくのそばにいたら、きっとかのじょはしあわせになれない。だからきみが、ぼくのことをわすれてくれますように。)


















(きみを、あいしてる)


120903



あきゅろす。
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